私のチーズ入門22　「冬の風物詩！トロトロ幸せなモンドールをついに…！」

ずっと食べたい食べたいと思っていた憧れのチーズをついに食べました！

それは…「Mont d'or(モンドール)」！ずっと食べたかったのに、なんでこんなにありつくのに時間がかかってしまったのかというと…、モンドールは生産も販売も期間限定だからなのです。生産は8月15日～翌年の3月15日まで。販売は9月10日～翌年の5月10日まで。秋ごろからそろそろモンドールの季節だなぁとソワソワしながらチーズ屋さんを覘いていて、先日やっと発見したのです。都心の大きなチーズ屋さんなら解禁後すぐに発売していると思うのですが、我が家の近くの小さなチーズ屋さんではなかなか出てこなかったのです。

やっと見つけたモンドール、買ったのは400g、12ユーロのもの（いつも買うチーズの倍以上の値段！）。これより大きいサイズのもありましたが、うちは夫と2人なのでこれで十分。日本でも昔ドラマで紹介されて以来結構有名みたいですね。しかも、一度このチーズからとある菌が発見されてしばらく日本では輸入禁止になってしまったので「幻のチーズ」としてさらに神格化されてされてしまったようです。

さて、そのモンドールですがこんな感じで木の箱に入れて売られています。ウォッシュタイプなのでちょっと匂いがきつい種類のチーズではあるのですが、「エセピア」というモミの木の樹皮で側面を囲まれているので、木の匂いのおかげでチーズの臭さは気になりません。熟成もエセピアの板の上で、塩水をつけた布または手でこすりながら進められます。

ちなみにMont d'orとは、フランス語で金の山という意味。Montが「山」、d'が英語でいうところの「of」、orが「金」です。実在する山で、フランスとスイスにまたがるジュラ山脈にあり、山頂はフランス側。よって、フランスチーズでもあり、スイスチーズでもあります。それぞれの国でAOPを取得しており、名称と製造方法は若干異なります。私が買ったのはフランス産の方で、生乳（無殺菌乳）で造られていて、スイス産の方は「Vacherin Mont d'Or」という名前で殺菌乳で造られています。どっちが元祖だ！と論争はありますが、国境なんて曖昧な時代からずっと造られているチーズなんだからどっちも元祖だと思うんだけどなぁ。

ではそろそろ、お味の方を…

モンドールの特徴はそのとろとろなクリーミーさ。スプーンですくって食べないと流れ出てしまいます。なので、流れ出るチーズを塞き（せき）止めるために樹皮に包まれて売っているんですね。ということでまずは上の表皮を切って、中のチーズをスプーンですくってパンにつけて頂きます（前日にこの日のためにわざわざアントワープの評判のパン屋さんでパンを買っていた）。

かなり美味しい！買ってから1ヵ月くらい熟成させていたのでだいぶとろとろです。癖は全くなく、贅沢な優しいミルクの味が口いっぱいに広がります。バゲッドよりもレーズン入りの田舎パンと相性が良かったです。レーズンの甘みがチーズの旨みをさらに引き出してくれる感じ。

そして次はお楽しみのチーズフォンデュ。上の表皮を取ってしまって、そこに白ワイン少々とにんにくのみじん切り（１欠片）を入れてよく混ぜたら、上にパン粉を振りかけて、250度のオーブンで約10分。エセピアの樹皮が焦げてしまわないように、周りはアルミホイルで包みます。出来上がったらとろとろのチーズをパンに載せて頂きます。

にんにくが効いてて、ものすごく美味しい！そのままもいいけど、私は断然こっち派！いくらでも食べれそうなくらい美味しい。幸せな気持ちになりました。スイスでチーズフォンデュを食べた時は正直あまり美味しいと思いませんでしたが（咳き込みそうなくらいワインが強かった）、このモンドールのチーズフォンデュは最高。癖もないし、チーズが苦手な人でも大好きになるのでは、というくらい。ぜひぜひ皆さんに試してもらいたい味です。

Mont d’or（モンドール）チーズ 

基本DATA 

•  タイプ：　ウォッシュタイプ 
  
•  産地：　フランシュ＝コンテ地方（以前紹介したコンテチーズと同じところ。モンドールを造らない期間にコンテを造っているのです） 
• 原料：　牛、生乳 
  
• 表皮：　薄い黄色から明るい茶色、自然のカビ  
  
• 中身：　白からアイボリー色、クリーミー
• 形状：　側面がくぼんだ車輪型 
  
• 熟成：　３週間以上
  
•  味：　濃厚な牛乳の優しい味わい、薄らと木の香りもする

日本の楽天で、私が買ったものと同じものを見つけました。

一度食べたら病みつきになってしまう味！

冬のモンドールは毎年の我が家の定番行事になりそうです。もう１回は食べないと気が済まないなぁ。ホームパーティーなんかにもいいですね。