アーミッシュの村を訪れて

前回のフィラデルフィアブログからだいぶ間が空いてしまいました…汗 忘れてしまわないうちに、今回のフィラデルフィア旅行最大の目的であったランカスターのことを書いておこうと思います。

ランカスターには大きなアーミッシュのコミュニティがあり、そこではアーミッシュの人たちの「典型的な生活」が営まれています。今回、友人からの誘いで初めてランカスターにアーミッシュの集落があることを知ったのですが、元々アーミッシュをはじめ、宗教や、宗教観に沿った生活を送っている人たちに興味があったので、すぐさま誘いに乗ってリサーチを開始。

アーミッシュはカナダやアメリカ各地に住む、ドイツやスイスを起源とした伝統的生活・規律を重んじるキリスト教系集団だそう。今でもその地方の移住当時のドイツ語を話していて、これは「ペンシルベニアダッチ語」と呼ばれています。外部にあまり情報が出ることがないので、そのミステリアスさから多くの映画、ドラマ、小説の題材にもされてきました。一番有名なのは、ちょっと古いですがハリソン・フォード主演の「目撃者」でしょうか。最後にちょっと触れようと思いますが、これはかなり名作なので一見の価値ありです。


フィラデルフィアの空港でレンタカーをチャーターし、私たちは直接ランカスターへ。2時間弱で到着。ランカスターに入ると、今までの高速道路ばかりの味気ない景色がガラリと変わり、眼前に豊かな農耕牧畜風景が広がってきます。オススメはRoute30という道。とてものどかな風景が楽しめます。

<こういうのどかな風景が広がっています>


ランカスターを車で走っていると、実に多くのアーミッシュとすれ違います。彼らは馬車に乗ったり、アーミッシュ専用のペダルのない自転車に乗ったりして、まさに「スローライフ」を体現しています。アーミッシュは16歳になると、外の世界を知る機会が与えられ、洗礼するまでその期間はなんでも好きなことを経験することが出来るので(車の運転、タバコ、化粧、ドラッグなど…。後述するDevil's Playgroundで詳細を見ることができます)、よって車の便利さも知っているのですが、彼らは敢えて馬車や独特な自転車を選択する。私たちはより速いことを選択しますが、彼らは逆にスローを選択するんです。

でも彼らは完全にテクノロジーを拒否している訳ではなくて、それらの奴隷になりたくないだけ。よって、人が運転する車に乗るのはOKだそう。車を所有し、運転することによって欲望に火をつけてしまうんじゃないか、そしてコミュニティの崩壊につながってしまうんじゃないか、そういうことを危惧しているので、車を所有しないんですね。

ちなみになぜペダルがない自転車に乗るかというと、ペダルがあるとより遠くまで行けるから、だそう。アーミッシュの取捨選択には何でも理由があるんです。



<アーミッシュの若者が乗った馬車。未成年の馬車には屋根がついていません。

右には馬車注意の看板>

<運転しているとよく馬車とすれ違います。こちらは屋根付きなので大人の馬車>

<ペダルのない自転車>


アーミッシュの家は一般公開されていないので、昔実際にアーミッシュの家族が住んでいたという家を見学してきました。ツアーになっていて、アーミッシュの経営する店などをバスで訪れ、家の見学をして(ガイド付き)約30ドル。説明されないと頭に沢山の疑問が浮かんでくるのでこのツアーはほんとに勉強になりました。この場で1つ1つ説明していくと本くらいのぶ厚さになっちゃいそうなのでやめておきますが、とにかく沢山の細かい決まり事があります(服にはボタンを使っちゃダメ、読書は聖書以外ダメ、この日はこの色の服、勉強は何歳まで、髭のはやし方…等々)。

こうやって聞いているといろいろ大変そうですが、私が総じて思ったのは、なんだかアーミッシュって美しいな、ということです。何が彼らを美しくさせるのか、多分素朴さや、シンプルさなんだと思います。教養をつけることや、遠くに移動することを否定する点は、個人的にちょっと賛同出来ないんですが、それを差し引いてもアーミッシュはなんだかすごく気高く美しく幸福に見える。アーミッシュを題材にした本や映画がいくつもあるのも、みんな心の中でどこか、アーミッシュを羨望するような気持ちがあるからかもしれないな、と思いました。



<収穫したイチゴを売るアーミッシュの子供たち。女の子は裸足です。アーミッシュの売る農作物は無農薬で品質も良く、高級レストランなどに高く売れるそう>


<アーミッシュは乾燥機を使わないので、洗濯物が干してあったらそこはアーミッシュの家。キレイな洗濯物がとても絵になります>


<家畜のエサとなる干し草を作るサイロもアーミッシュの家の目印。サイロは結構高くて、いいものは1台2000万円ほどするそう。アーミッシュは実は裕福な人が多いそうです。草を食べて育った牛は美味しそう!(アメリカの牛は基本的に遺伝子組換えのトウモロコシで育っているので…>


<農作業をするアーミッシュの家族>


<アーミッシュの使っていた家。テクノロジーを排除している訳ではありません。冷蔵庫も使っています。ただし、これは自家発電で賄っています>



<コーンフレークも食べます。こういうところは私たちと一緒ですね>



色々書きたいことはありますが、なんだか収拾つかなくなってしまいそうなので、この辺りで止めて、アーミッシュに関連するオススメの映画を2本紹介しておこうと思います。2本ともAmazonビデオでレンタル可。


まずは一番有名な映画、「目撃者」。ハリソン・フォード扮する刑事が、とある殺人事件を追うのですが、なんとその目撃者がアーミッシュの男の子。この男の子がとても可愛いんです。あんまり書くとネタバレになってしまうのでやめておきますが、この映画ではアーミッシュの人たちの日常生活や風習が垣間見れます。


2本目は、アーミッシュの青年たちのモラトリアム期間を追ったドキュメンタリー。彼らが非アーミッシュな生活を体験して、何を思い、今後の人生をどう決断していくのか。え、アーミッシュってこんなことしちゃうの?とかなりショッキングな内容も含まれています。でも私が一番驚いたのは、車、携帯、タバコ、ドラッグ、など魅力的なものを沢山経験した上でも約9割の青年がアーミッシュになるという決断をするということ。アーミッシュは基本的に多産なので(子供5、6人は当たり前)どんどん人口が増えていっているそうです。

Atlanta Life ~via Belgium~

2015年~2017年はベルギーで。2017年8月よりアメリカはアトランタで生活を始めました。

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