廃墟修道院で雰囲気満点のビアフェス!

遅めの夏の余韻を楽しんでいたら、あっという間に秋をすっ飛ばして冬が始まってしまいそうなベルギー。そんな冬の足音から逃げるかのように最近せっせとイベントに参加しています。

先週末、友人(最近よく遊んでもらってるひきりんさん)からとーっても素敵なビアフェス「Carrément Bières」 に誘ってもらい、満足すぎる午後を過ごしてきました。 


このイベントは今回で2回目の開催で、会場はブリュッセルから車で40分ほどのAbbaye de Villers (Villers-la-Ville)  という今はもう廃墟となっている修道院。とても歴史のある修道院で、その建設は12世紀まで遡ります。当時のベルギーにおいては最大級の修道院で、400人の修道士たちが共同生活をしていたとか。しかし、ここもベルギーの多くの修道院と同様、フランス革命の影響によって破壊されてしまいます。現在は廃墟(かつ観光地)となっていますが、それでも当時の美しさ、荘厳さが十分過ぎるほど伝わってくる存在感を放っています。年間10万人以上の来場者を受け入れ、今回のようなビアフェスやコンサートなど、様々な催し物を行っているそうです。

<なかなか全体像を撮るのが難しいけどこんな感じの修道院>


こんなところでビールを飲めるという幸せがあってもいいのだろうか…と大興奮。 

通常時の入場料は大人8ユーロですが、今回のビアフェスの入場料は10ユーロで、これにグラスと修道院への入場、各種催し物への参加(修道院のウォーキングツアーや醸造所の見学ツアーなど)が含まれていてとってもお得。ビールは15clの小さいグラス1杯が1.5ユーロ。飲みたい分のジェトンを購入します(私は5枚購入)。 


着いたらまずはビールを一杯、喉の渇きを潤します。最初の一杯は、爽やかな飲み口が特徴のブロンシュ(白ビール)で、事前にチェックしていたBelgo Sapiensのものを頂きました。なんでここをチェックしていたかというと、醸造所の名前とロゴがホモサピエンスをもじっていてユニークで惹かれたから、というのと、ここのブロンシュ(Blanche de Thines)は生姜を使っていて、珍しいなぁと思ったからです(通常ブロンシュはコリアンダーとオレンジピールが入っています)。飲み口は生姜が効いてかなりキリっとしてピルスナーなどのライトビールのよう。甘みもほとんどなく、こういうブロンシュもありだなぁと思いました。 

<Belgo Sapiensのブース>



最初の一杯を飲んで落ち着いた後は、早速イベントに参加。2時間に1回、すぐ近くにあるマイクロビュリュワリー(醸造所と同じAbbaye de Villers)の見学ツアーが開催されていました。

ここでは、修道院で働く人用に16~17世紀ごろビールが醸造されていました。2010年にルーベン大学の研究チームによって、この修道院のビールの再現が試みられ、本格的に醸造が再開したのは実は数か月前から。確かに設備も新しくピカピカです。

修道院ビールらしく醸造スペースの真ん中に聖人の象が置いてあったのが印象的でした。修道院ビールの醸造所は何度か行ったことありますが、ガイドなしのカフェのみのところばかりだったので、そういえば説明を聞いたのは今回が初めて。ビールの造り方についてはいつも通りの説明だなって感じだったのですが(ビールの説明だけはフランス語で聞いても結構理解できるのです笑)、興味深かったのは、当時(18世紀)ビールは労働者に対する報酬で、ここでは3種類のタイプのビールを醸造しており、1番強いビール:修道士用、中くらいの強さ:来客用、軽いビール:労働者用、だったそうです。

<糖化槽(マッシュタン)と煮沸釜の間に聖人の小さな像が>


もう一つ印象的だったのは冷却装置を見れたこと。伝統的な冷却装置は醸造所見学で良く見せてもらうのですが、現在の醸造所で使われている冷却装置をじっくり見たのは今回が初めて。ポンプで煮沸釜と発酵タンクをつないで(間に温度計がついている)、そのポンプを通って麦汁が発酵出来る温度まで下げられます。結構小さな装置だったので、こんなもので数10度も下げることが出来るのかとびっくり。マイクロブリュワリーはこういうのが間近で見れるから嬉しいですね。  

<冷却装置>



さて、所要1時間の醸造所見学が終わったら、廃墟となった修道院を散策してビールタイムです。この修道院はとっても大きくて、以前行ったオルヴァル修道院の数倍の規模はありそう。一緒に行った友人のパートナーが修道院にとても詳しく、ここはベルギー3大廃墟修道院の一つだよ、と教えてくれました(Orval、Villers、Aulneあたりがビッグ3らしい)。

とにかくどこを見渡してもフォトジェニックで写真を撮りまくってしまいました。

<天井が一部残っている>


<遠くから見た全体像はこんな感じ>


<ビール片手に修道院を散策する人たち>


<この空間で飲めるなんて最高の贅沢!>



<修道院の奥には線路が通っていて、たまに電車が通るのも雰囲気抜群>


修道院をしっかり満喫した後はビールを真剣に選びます。今回の参加ブリュワリーは以下。

  • Abbaye de Brogne 
  • Abbaye de Villers en Brabant :上記の醸造所見学の醸造所
  • Belgo Sapiens :上記のブロンシュはここ
  • Bertinchamps :最近イベントやスーパーで良く見かけるようになりました
  • Brasserie à Vapeur :下記参照
  • Brasserie de la Lesse 
  • Brasserie de Silly :有名選手をいっぱい擁す醸造所。ここのグースが飲みたかったけどなかった
  • Brasserie d'Ebly :ユニークなグラスで有名
  • Brasserie Demanez 
  • Brasserie des Eaux Vives 
  • Brasserie du Clocher 
  • Brasserie Ging's 
  • Brasserie La Binchoise 
  • Brasserie Lion Novabirra 
  • Ter Dolen :フラマン系がぽつり。期待してたけどそうでもなかった


この中で一番良かったのはBrasserie à Vapeur 。ここは前からマークしていた醸造所でいつか見学しに行きたいと思っていたところだったので今回出会えてほんとにラッキー!なぜマークしていたかというと、なんとここは蒸気の力でビールを造るというとてもユニークな醸造所なんです。しかも月に一度公開醸造をしているので、ダイナミックなビール造りを見ることも出来る。

私たちがここで飲んだのはSaison de Pipaixという伝統的なセゾンビール。18世紀と同じレシピで造られていて、キリっとしたなかに若干の酸味が感じられ、ワロンの農民ビールと言った感じ。もう一つは、VAPEUR COCHONNEというスパイスたっぷりのこれまたワロンらしいビール。色んな味を感じられる芳醇なビールです。


他にもいろいろ飲んだけど、特筆すべきはBrasserie à Vapeurくらいかな。ビールは私の好みのサワー系がほとんどありませんでしたが、それをもカバーする素晴らしいイベントで大満足の1日でした。

地方のビアフェス、とても素敵ですね。

<秋の訪れ @修道院の一角>


<八重のコスモスなんて初めて見た!>


Atlanta Life ~via Belgium~

2015年~2017年はベルギーで。2017年8月よりアメリカはアトランタで生活を始めました。

2コメント

  • 1000 / 1000

  • tanu

    2016.09.30 19:18

    @ひきりんだいぶ前の記事を書いてますよね(笑) 私も最近なんだかんだでバタバタしちゃってあんまり書けてないです~汗 このビアフェスは最高でしたね!!思いだして余韻に浸れます:) 今週末も行きたいけど、ここのところアルコール漬けだったので自重しようかな…(笑)
  • ひきりん

    2016.09.29 17:20

    その前の週のまとめに時間を取られて、このビアフェスについてはすっかり後塵を拝しちゃいました。って、今週中に書けるかどうか…。 試したブリューワリーの中では、そんなに高く無い勝率だったけど、やっぱり会場と雰囲気が良かったよねぇ。 今週末はアントワープorオーヴライズのどちらかには行く予定???