St. Feuillien(サン・フーヤン)醸造所

 この間St. Feuillien(サン・フーヤン)醸造所というところに行ってきました。

サン・フーヤンのビールはアベイ(修道院)スタイルのビールで、ベルギーではよくスーパーやビアカフェでも見かけるメジャーなブランドです。これは、醸造所を押さえておかなければ!ということで行ってきました。

醸造所はワロンに位置し、ブリュッセルから車で南に約40分、Monsから20キロほど東にあります。毎週土日に予約不要の醸造所ツアーが開催されており、気軽に訪問出来る嬉しいスポット(土曜日が14:30、日曜日が10:30開始)。  


ブリュッセルからだと、高速道路E19を降りたところにあるラーン・アバウトにビール醸造に使うマッシュタンが見え、そのすぐ横に、サン・フーヤン醸造所らしき看板が見えてきます。

ただしここはオフィスのみで醸造スペースはないので要注意。醸造所はそこから1kmほど先にあります。私たちは間違ってオフィスの方に行ってしまったのですが、よくある間違いなのか醸造所に電話をするとスムーズに対応してくれ、遅れて到着した私たちを門の前で待っていてくれました。なんと優しい! 

<高速を降りたらすぐ見える看板、でもここではないので要注意!>


15分程遅れで醸造所ツアーが開始。

他にも見学者がいたので、皆さん私たちを待っていてくれました。申し訳ない…。 ベルギーの醸造所では、職業ガイドの方が色んな醸造所でビール醸造の概要を中心に説明してくれることが多いのですが、サン・フーヤン醸造所では、醸造所で働いている方がガイドをしてくれ、サン・フーヤンのビールについて、丁寧でとても詳しい説明を聞くことが出来ました。やっぱり醸造所のガイドはそこで働いている人にしてもらうのが一番です。 

<醸造所の敷地内の様子>


ツアーは、3年前の2013年まで使われていた敷地内にある古い醸造所の中で、醸造所やビールの概要についての説明から始まります(フランス語と英語)。 

サン・フーヤン醸造所は、7世紀にアイルランド人のフーヤンさんが布教のためにこの地を訪れたことが起源です。フーヤンさんはその後暗殺されてしまうのですが、後に彼の信者たちがここに礼拝堂と修道院を建て、ビールの醸造を開始しました。フランス革命の影響で、この醸造所も例に漏れず破壊されてしまいますが、フリアー(Friart)家が1873年に醸造所を創業、1950年から「St. Feullienシリーズ」の醸造を開始し、現在は醸造所名をフリアー醸造所からサン・フーヤン醸造所に改め、家族で経営しています。 

従業員数は全部で26人、生産は6人で行っているそう。規模は小さいですが、とても存在感のある醸造所で、看板商品であるSt. Feuillien Blond, Brune, Tripleはスーパーやカフェでよく目にします。全生産量の4割を輸出しており、日本はその主要マーケットだとか。 

旧醸造所は3階建てになっており、他の伝統的な醸造所と同様、工程は上の階から下に重力に従って流れるようになっています。3階で大麦を粉砕し、2階で粉砕した大麦に水を加えて煮沸、ホップの添加、そして1階では冷却と発酵が行われます。 

ツアー参加者の中に赤ちゃんを連れの方がいたのですが、そこでガイドの方から、「ホップはカンナビス(大麻)の一種で、ミルクに入れるとよく眠れるのよ」、というビールの国、ベルギーらしいエピソードも教えてくれました。ちなみにビールに使われるホップは雌花のみで、これは雌花に苦みの成分が入っているからだそうです。  

<旧醸造所の最上階(麦芽の粉砕工程)、重力によって下の工程に進む>



旧醸造所での説明が終わったら、3年前に出来た新しい醸造所へ移動して、現在の醸造行程について説明をしてもらいます。サン・フーヤン醸造所のビールは全て上面発酵で、瓶内二次発酵(瓶詰め時に砂糖と酵母を添加する)をさせています。完成までは約2カ月かかり、うち発酵に4~5日、醸造に4週間、瓶内二次発酵に約2週間を要します。樽での提供もしているので、その場合は瓶内二次発酵の工程がないため、二酸化炭素を添加して、炭酸を作っているそうです。  

ビールの最も重要な原材料は水ですが、サン・フーヤン醸造所の敷地内には良質な水が汲める井戸があり(鉄分を含んだ地下65mから汲み上げた硬水)、井戸の近くで醸造した方が効率的なため、新しい醸造所も旧醸造所の横に建てられています(オフィスは前述の通り1キロ先にありますが)。 



<新しい醸造所の内部の様子>



さて、醸造所ツアーの後は、敷地内にあるカフェで2種類のビールを1人2杯きっかり(330CC×2)もらえます。ツアー代7ユーロでビールが2杯もついてくるなんてとってもお得。 定番のSt. Feuillien Blond, Brune, Tripleはスーパーで買えるので、ここはちょっと珍しめのものを、と私たちが選んだのが、Saison、Grand Cru、Car d’OR、Westcoast IPA(ちなみにSaisonとGrand Cruもスーパーで売っているところもあります)。 

Saison、Grand Cru、Westcoast IPAは、「ドライホッピング(ビール醸造の最後の工程で、ホップの爽やかな香り付けをする)」という製法を取っており、そのためとても清々しい良い香りがしました。 Gran Cruはワインやシャンパンのような名前ですが、このビールは、シャンパンの酵母で瓶内二次発酵をしているというとても珍しいビール。確かに、ビールなのにシャンパンのような味がするとてもリッチなビールでした。

<醸造所内のカフェ>


<左からGrand Cru、Westcoast IPA、新商品のIPA>


テイスティングの途中で、来月発売予定という、ベルギーのホップを使ったSession IPAの試飲もさせてくれました。Westcoast IPAはアメリカ産のホップでアルコール度も少し高めですが(8.1%)、新商品のIPAはアルコール度数も低めで(5%)飲みやすいエールです。 

 じっくりテイスティングをさせてもらい、ショップではお土産にビールも購入して大満足の醸造所ツアーでした。今まで約30か所の醸造所に行きましたが、サン・フーヤン醸造所はTOP5に入るくらいの満足度。ビールに興味がなくても、ベルギーにいる間に一度くらい醸造所に行ってみたいという方がいたらぜひオススメのスポットです。  


St. Feuillien(サン・フーヤン)醸造所 

HP:http://www.st-feuillien.com/en/ 

住所:Rue d’Houdeng 20 – 7070 Le Rœulx – Belgique 

電話: +32 (0)64 31 18 18  

Atlanta Life ~via Belgium~

2015年~2017年はベルギーで。2017年8月よりアメリカはアトランタで生活を始めました。

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