アトランタの新居に入居!

ベルギーのお家を退去してから約1ヵ月の放浪生活を経て、ようやく定住しました。

場所はアトランタ郊外の集合住宅。Theアメリカって感じのところです。

セキュリティ付きの大きな門をくぐると、広大な敷地内には1棟に20世帯くらい入っているアパートが20棟ほどゆったりと並び(日本で言う団地とはだいぶイメージが違う)、アパートの管理センターやジム、プール、ビジネスセンター、BBQ施設、巨大ゴミ収集所、などが入っています。面積はは軽く東京ドーム1個分はある感じで、管理オフィスの人達はカートで敷地内を移動しています。まるで1つの村みたい。

<アパートがある敷地内はこんな感じ>


アトランタをドライブしていると、大きな道路沿いに私たちが住んでいるような住宅地を沢山目にします。セキュリティのある・なしはありますが、このような住宅の形がこちらの一般的なスタイルのよう。1本入った比較的狭い通り沿いには、気持ちのいい緑の中に、ゆったりと一軒家が並んでいます。リスが沢山住んでいそうなところ。

ベルギーのお家は、細長い家がくっつきあって建っていることが多く、1軒家の場合でも隣同士はそんなに離れていません。「街」や「村」の区分が明確にあり、その中に八百屋さんやお肉屋さん、パン屋さん、そしてビアカフェがありました。

一方アメリカは、街の区分はそんなに明確ではないように思えます。歩くということがないからかも。往々にして、買い物はショッピングセンターなるものでします。ショッピングセンターは、大きな道路沿いにだいたい5~10キロおきくらいに出現し、どれも同じような感じ。共同の大きな駐車場が前にどーんとあって、その奥に、スーパー、カフェ(スタバ)、レストランが1軒、ファーストフード店1軒、服屋、ネイルショップなどが入っています。どのショッピングモールも大体こういうお店が必ず入っていて、違いはどのスーパーか、カフェか、レストランか、くらい。でもどのショッピングセンターもあまりに似通っていて、判別困難。要するにとても退屈です。

よって、私が出掛けるとしたら若干の例外はあるものの、基本的に、巨大な居住区をまず出て、15分~20分ほど歩いて、上記のショッピングセンターに到着し、均質的なカフェだったりスーパーだったりに辿りつきます。まさに点から点への移動で、ベルギーのときのような「線」ではない。線上にはカフェやレストランやチョコレート屋さんがあって楽しかったなぁ。アメリカはものすごい車社会で、超合理的です。



<ショッピングセンターの入り口。どんなお店が入っているか入り口に看板がかかっている>


少しでもアメリカを好きになろうと、大好きな村上春樹のアメリカが登場するエッセイを読んでみました。「辺境・近境」という旅エッセイ。学生のときに読んだんだけど、すっかり内容を忘れていた。


村上さんが、車でアメリカを横断したときの話が入っています。この中で、中西部のモーテルについての記述が上記の私のショッピングセンターに対して感じたことを文章化してくれているような気がしたのでここに引用しておきます。この文章はほんとに何もないアメリカの中西部について書かれたものなので、アトランタのショッピングセンターと一緒にしてはいけないと思うけど、とにかく空恐ろしくなるくらい、この均質性に嫌気がさしてしまった。とか言って1年後にはばっちり見分けられて、お気に入りの場所になってるかもしれないけど。。


村上春樹「辺境・近境」

風景もかくのごとく退屈だが、三度 三度食事をとるレストランも、毎晩 泊まるモーテルも、 それに負けず劣らずまた見事に退屈な代物である。 どれもこれもあまりにも無 個性に似通っているので、そのうちにどれがどれだったか、ほとんど区別がつかなくなってくる。 モーテル を選択するのは原理的には簡単だけれど、実際的 には なかなかむずかしい。「 どれでも同じなんだ からなんだっていいじゃないか」と思うのだけれど、かといって具体的 に どれかひとつは選ば なくてはならない。だから夕暮れになってきた頃 に、捨て鉢 な気持ちで、「 まあ、これくらいでいいかな」という見当をつけてひょいと 無根拠に選んでしまうわけだが、そんなことを日々続けていると、そのうちにもともと自分の中にあったはずの「 何 がよくて何が悪いのか」 という基本的な価値基準のようなものが、だんだん揺らいで、不明確になってくる。これは本当です。モーテルというイメージが頭に浮かぶと、ほとんど 同時に思考力にすうっとミルク 色 の 霧 のようなものがかかり、僕らは ものすごく 長い パイプのような格好をし た「 継続 性」の中に呑み込まれていくことになる。 そこ では 時間 は 金太郎飴のように流れる。 前と後の違いがわから なくなってくる。昨日と明日の違いがわから なくなってくる。日常と非日常の違いがわからなくなってくる。感動と無感動 の 違い が わから なく なってくる。そこに存在するものは、テレビとベッドとバスという記号のみで ある。テレビとベッドとバス。テレビ と ベッドとバス。 テレビとベッドとバス。それの限りのない繰り返しである。それは人の心 を徐々に蝕ん で いく。  


Atlanta Life ~via Belgium~

2015年~2017年はベルギーで。2017年8月よりアメリカはアトランタで生活を始めました。

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