ちょっと不気味なニューオリンズ

前回、フュージョンなニューオリンズについて書きましたが、今回はまた別のニューオリンズについて。ニューオリンズは色んな表情がありすぎて、1回のブログじゃ書ききれません。


ニューオリンズはヨーロッパ、アフリカ、アメリカなど色んな国々のごちゃまぜ文化でしたが、もう一つのニューオリンズを特徴づける要素として、標高が低いという点があります。標高が低いことにより、湿地帯(沼地)が本当にたくさん広がっています。オランダのクリーンで牧歌的なそれとはまったく雰囲気が違って、何かこう、得体の知れない生物が住んでそうなおどろおどろしい雰囲気の湿地帯です。ニューオリンズをドライブしていると、実に多くの川や、沼、湿地帯を目にします。観光客相手には沼地ツアーなるものも開催されてて、小さなボートに乗って沼地に赴き、そこに住む生き物(ワニなど)を見たりします。全体的に茶色い雰囲気だし、生息している植物もなんだか暗いし、木なんてまるでお化けでも住んでいるような佇まいです。

<ドライブ中、道の両側はこんな感じでした>

<お化けのような木>


<マーケットで沢山売ってあったワニの剥製。サイズは様々>



標高が低いことで、ニューオリンズは度々洪水に見舞われました。そのたびに、お墓から土葬された死体が出てきてそれはもう不気味だったそうです(まるでゾンビが踊っているように見えたとか)。ゾンビ対策として考えられたのが家スタイルのお墓。お墓が小さな家のようになっていて、洪水が来ても死体が水浸しにならないように工夫されているんです。これもニューオリンズでは有名な観光スポットになっていて、朝から夜にかけてお墓ツアーなんてものも開催されています。「家」のスタイルのお墓はフランス風で素敵だし一見の価値ありです。

<家スタイルのお墓>


そしてもう一つ有名なのが、ブードゥー教という宗教。アフリカから連れてこられた奴隷が信仰していた宗教と、ヨーロッパ人がもたらしたキリスト教が融合してできた宗教で、当時ニューオリンズではかなりの支持を得ていたそう。いまでも15%ほどの信者がいるそうです。ブードゥー「教」と言いますが、教団もなければ教典もないので、どちらかというと民間信仰のような感じ。ブードゥー信仰は、魔術や呪術を中心とするので、現代の感覚から言うとちょっと不気味というか、オカルト的な感じがしますが、それも何だかニューオリンズの雰囲気と実によく似合っています。ブードゥー人形は至る所に売ってありました。ちょっと買うのは怖いかな…

<ブードゥー人形>



最後に不気味、ではありませんが、なんかこう魔術的な雰囲気を醸し出す、古い樫の木の並木道で有名なプランテーションの跡地に行ってきました。

そう、南部といえばプランテーションと黒人奴隷の歴史は無視出来ません。たくさんのプランテーションがありますが、私たちが選んだのはOak alley plantation(オークアレープランテーション)というところ。この見事なオークの木を見たかったからです。

オークアレープランテーションは1830年に設立されたそうです。ここでは豪華な領主(フランス人でした)の家を、見学することが出来ます。当時の恰好をした女性たちが丁寧に説明してくれて、なかなかオススメ。風と共に去りぬのスカーレットのような恰好をしていました。彼女が強調していたのは、この豪奢な生活は奴隷の労働なしでは成り立たなかったとのこと。家の壁のレンガの1つに至るまで、奴隷の手によって造られていました。

豪邸を見学した後は奴隷たちが住んでいた家(小屋)を見学。本物の家は焼かれてしまってもう存在しないのでレプリカのみでしたが、しっかりと再現されていました。豪邸を見た後でのギャップはかなり大きいです。奴隷の中でもランクがあって、昇進すると、簡素なベットがある小屋に住むことが出来ます。奴隷小屋の近くには医務室もありました。サトウキビ農業というのはとても労働集約型な産業です。今は機械化されていますが、当時は手作業でこれをこなしていた訳ですから、過労による病気や、事故などが頻発したのだろうなと想像されます。


<領主の家と奴隷小屋>


様々な文化や歴史を感じることが出来たニューオリンズ。きっとアメリカの中で、最も沢山のアイデンティティを持つ都市だと思います。


Atlanta Life ~via Belgium~

2015年~2017年はベルギーで。2017年8月よりアメリカはアトランタで生活を始めました。

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