チキンバスに揺られて…

グアテマラの名物の一つに「チキンバス」というとてもヤクザなバスがあります。チキンバスとはアメリカ人がつけた名前で、現地の人はCamioneta(トラック/バス)と呼んでいるのですが。

このバスがほんとに笑ってしまうくらい派手でして…。首都のグアテマラシティを走ってる分にはまだいいのですが、古都のアンティグアを走ってると、せっかくの風情のある建物の中をこのヤクザなバスが走っててものすごいギャップです(苦笑)。でもずっと見てると面白くてどんどん愛着が沸いてくるのが不思議。

<古都アンティグアの石畳の上を走るチキンバス>


このチキンバス、実はアメリカで使われているスクールバスのおさがりだそう。確かに形はスクールバスにそっくり。リタイアしたスクールバスを買い取って、派手な装飾を施して、色々と改造してやっとチキンバスとしてデビューです。路線によって、色やデザインの系統があるらしいのですが、運転手の好みもだいぶ入っていそう。

そういえば、ボリビアに行ったときは日本のミニバスのリタイア車が沢山走っていてびっくりしたのを覚えています。○○温泉やら、○○幼稚園やら、○○ホームなどのロゴ入りばかり。日本語がクールに見えたのか、ボリビアではそのままそれが使われていましたが、グアテマラではこんなにド派手に作り替えちゃう。同じ中南米と言えども違って面白いですね。


このチキンバスにどうしても乗ってみたい!ということで、前日のガイドさんにオススメの目的地(近すぎず遠すぎず、かつ面白いところ)を聞いたところ、マカダミアナッツの農場がいいよとのことでチキンバスデビューしてきました。早速バスターミナルに向かいます。

<チキンバスがずらり>


バスターミナルではチキンバスが何十台もずらりと並んですごい迫力。壮観です。砂ぼこり、バスの発着音、お兄さんたちの呼び込みの声、売り子たちの声などいろんな音が混ざってまさにカオス。私も負けじとマカダミアナッツ農園行きはどのバスかと大声で質問する。


そしてようやく搭乗。運転手の他に車掌さんもいるんですが、この車掌さんがすごい。呼び込みから、お金の回収(しかもすごい記憶力)、荷物の上げ下げ、などなどよく働きます。時刻表もなければ停留所もないので、したがってGoogleマップにも出てきません。よって部外者にとってはとても難しいシステムなのですが、一応始発の時間とかは決まっているみたいで、住民の利用者は習慣的に知っているようです。

<バス内部の様子>


アメリカから買い取った後に改造するのですが、そのときにシートも変えるそう。通常2人掛けのシートの幅を広くして、ギリギリ3人座れる幅にしてあります。よって、シートとシートの間がとても狭くて歩きにくい。でもグアテマラ人はとても小さいし(なんとグアテマラ人女性は世界一小さいらしい。男性平均155㎝、女性平均145㎝)、道が悪いグアテマラではなるべく多くの人が座れた方が安全だし、このシートは理にかなっています。


そんなこんなで車内観察をしてたらあっという間に目的地に到着。何にもない1本道みたいなところで、「マカダミア農園だぞ!」と言われて慌てて降りて、途方に暮れること一瞬、無事農場の入り口を発見しました。ほんとに停留所なんてシステムはありません。


マカダミア農園については、なかなか面白かったのでちょっと触れておきます。この農園は、約30年前にカリフォルニアから来たアメリカ人夫婦によって設立されました。環境保全と持続可能な産業が彼らのミッション。私にわざわざ話しかけにきてくれたのですが、優しくて、とても志の高い素晴らしいご夫妻でした。

マカダミアというのは、他の植物よりも二酸化炭素をより多く吸収して、酸素をより多く排出する植物だそうです。さらに1年中収穫可能。一つの木に、花~実になる過程がすべて並存しているのです。収穫から出荷にいたるプロセスも、コーヒーや砂糖など他の産業と異なり、労働集約的ではなく大規模な設備も不要。すべて、とてもシンプルで、どこでも調達可能な道具で、皮を割り、サイズごとに選別するところまで簡単に出来てしまうのです。

マカダミアはコーヒーが栽培できる場所では、どこでも栽培できるそうで、このアメリカ人の夫妻は貧しい先住民が住む地区に苗を持って行っては、一緒に農園を作っているそう。今はニカラグアにも進出しているとか。中南米の先住民の貧困問題はとても深刻です。このマカダミアで少しは状況が改善すればいいのですが。

<これがマカダミアの実>

<同じ木に、花(左)と小さな実(右)もいます>

<殻を割ると実が出てくる。これを乾燥させます>

<殻を割る機械。タイヤでつぶすというとてもシンプルな作りになっています>


この農園では無料でガイドもしてくれるし、園内のカフェではマカダミアの粉を使ったパンケーキなども食べれるのでオススメです。

アンティグアのバスステーションからSan Miguel Duenas行きのチキンバスに乗って、Valhallaで降りたらすぐですなので、チキンバスに乗るついでに良かったら行ってみてください(農園のHPはこちら


<おまけ>

近距離のチキンバスはリタイアしたスクールバスがそのまま使われています。グアテマラに遊びにきたアメリカ人はノスタルジーを感じるそう。


Atlanta Life ~via Belgium~

2015年~2017年はベルギーで。2017年8月よりアメリカはアトランタで生活を始めました。

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