Hoftendormaal（ホフ・テン・ドルマール）醸造所 「農家のビールは野菜の味？」

ブリュッセルから車で約45分、ルーバンの北西に位置するホフ・テン・ドルマール（Hoftendormaal）醸造所というところです。

ここのビールは土曜日の午後のみ併設のカフェで飲むことが出来ます。ルーバン中心地からは車で20分くらい離れていてかなりの田舎。徒歩10分くらいのところに国鉄の駅（Hambos駅）もあったので、電車での訪問も可能です。とうもろこし、チコリ、麦などが栽培されている畑や、牛や馬がのんびり草を食んでいる牧場と、この地方特有の赤茶色のレンガの家のコラボレーションがとても素敵でした。

到着し、門をくぐると敷地内にはレンガ造りの醸造所、家、カフェが中庭を取り囲むように建っています。さっそくカフェに入ってみると何組か先客が。遠方から来たようなビール好き風のグループと、ご近所さん風のグループがいました。

カフェは小さく収容人数は20人くらい、こぢんまりとしていてとてもあったかい雰囲気でした。カフェというより農家のおうちといった感じ。ビールは何種類もあったのですが、一番珍しいチコリ（小さい白菜のような野菜でアンティーブとも呼ばれています）の根っこを使ったビールを注文。世界で初めてチコリを使ったビールを造ったそうです。野菜のような苦みを感じ、最後にふわっと甘みも感じる珍しいビールでした。なんでビールにチコリを入れてみたのか聞いてみたところ、チコリの苦みがホップに似ていて、そのチコリの根っこが家畜の餌用にあったからとのことでした。発想が面白い。

ビールを楽しんだ後、醸造所見学が出来るか聞いてみたところ即答でOKを貰い、無料で色々案内してもらいました。ほんとに有り難いです。

まずは農場から。機械を導入する前は耕作や運搬は家畜を使っていたそうで、現在も馬、牛、豚を飼育しています。馬を間近で見せてもらいましたが、ゾウのような馬でとても大きくておとなしくて、初めて見る不思議な馬でした（ブラバンソンというそうです）。

次は醸造所へ。醸造所はかなり古く、屋根や壁が崩壊しています。1740年に建てられたレンガ造りの建物で倉庫のような感じです。アメリカから中古で輸入したという大麦を粉砕し麦汁を造る機械と、濾過をする機械が１台ずつありました。そのあとは貯蔵タンク（５台くらいありました）に移し、ここで１週間熟成させボトリングです。ボトリングの部屋は屋根が壊れていて吹きさらしになっていました。電気がショートしたとのことで、瓶詰めマシーンが壊れてしまい現在別の醸造所から借りてきているそうです。年内には修復するそうですが、そもそも土台の建物がかなり古いので心配です。。

最後はホップ畑を見せてもらいました。

9月に収穫したばかりだそうで、茎しか残っていませんでしたが、初めてホップの栽培風景を見ることが出来たのはとても貴重な体験でした。この醸造所は面白いことに農業をメインでやっていて、農家兼醸造所です。そしてビールの材料はなんと自給自足しているんです。醸造は2009年に開始したばかり。ビール造りを始めたのは農業より儲かるから。（ほんとかな…？）息子さんがアメリカ留学をして醸造を学び、帰国後に醸造を始めました。ここのビールはアメリカに輸出されているそうです。

最後にビールを6本購入して帰りました。1本3ユーロ程度で、沢山の種類のビールがあり選ぶのが楽しかったです。一生懸命工夫を凝らしてビール造りをしているのが伝わってくるアットホームな醸造所でした。こんな田舎にある小さな醸造所ですが「チコリをビールに入れてみる」というアイディアで他の醸造所との違いを出しているのが面白いし、とても応援したくなりました。試行錯誤して頑張ってると言っていましたが、今後どんな面白いビールが出てくるか非常に楽しみです。

【Brouwerij Hof Ten Dormaal（ホフ・テン・ドルマール醸造所）】

住所：Caubergstraat 2, 3150 Haacht 

電話：+32 (0)477-51 59 91

醸造所訪問予約：必要（一応…）

カフェ営業時間：土曜日14：00～20:00

ビール販売時間：火曜日、木曜日14：00～20:00

HP：http://www.hoftendormaal.com