Gruut醸造所@Gent 「ホップを使わないハーブのビールって?」

昨日はゲントのグルート醸造所に行ってきました。

ゲントはブリュッセルから車で約45分、ベルギーの古都で運河の流れるロマンチックな街です。ブルージュ、アントワープと並んで観光が盛んです。

先週の醸造所巡りはランビック系に行ったので、今回はユニーク系です。

この醸造所はホップの代わりにハーブやスパイスを使うとても珍しいビールを造っているところ。中世の時代、ゲントはレイエ川によって町が二分されていたのですが、フランスに支配されていた右岸では数種類の「グルート」と呼ばれるハーブを使ってビールを作っていました。地域によってハーブの量や配合は異なっており、当時はハーブの量によってビールの課税額が決まっていたので、ハーブの配合レシピは領主だけが知るものだったとか。現在はアルコール度数と量によって課税されますが、昔はハーブの量だったんですね。

ちなみにホップの登場は13世紀、当時はホップさえもグルートの一部だったそうです。ホップが主流になるまではビールはハーブで造られていたんです。まだまだハーブビールの歴史の方がホップよりずっと長いんですね。

使われていたハーブは、ヨモギ、ノコギリソウ、タイム、ローズマリー、ジンジャー、アニス、ナツメグ、シナモンなどなど…。ホップの爽やかさや防腐効果が認識され、ホップ発見後はホップがビール造りの主流となっていきました。やはりいいものが最後に残るのです。


ただ、昔ながらのハーブを使ったビールを現代に復活させたいと試行錯誤を重ねたここの醸造家はすごい。ホップにひけをとらない素晴らしいビールでした。昔の技術で造ったハーブビールはホップに淘汰されてしまいましたが、ハーブの素晴らしい点もたくさんあります。

ハーブはいろんな効能があります。ここのビールはとても健康にいいのだとか。糖尿病を予防したり、代謝を良くしたり、血圧を下げたり、などなど効能が書かれていました。若干眉つばものですが、ビールを飲んで健康になるなんて嬉しい限りですね。

ちょっと話は脱線しますが、お隣ドイツでは「ビール純粋令」と言って、「ビールは大麦とホップ、水以外のものを用いて醸造してはならない」という法律が14世紀初頭に施行されているんです。これによってドイツのビールの品質は担保されますが、バラエティに富んだビールはなくなってしまいます。いろんなものを入れてビールを造ってるベルギーとはえらい違いですね。


前置きが長くなってしまいましたが…、この醸造所のオープンは2009年、珍しい女性の醸造家です。カフェレストランと醸造所が一緒になったところで、設備を見ながらビールを飲むことが出来ます。店内は広く開放的でオシャレな空間。近代的なインテリアとメタリックな醸造設備がうまくマッチしていました。


<これが外観>

今回はこの醸造所の予約サイトにて、「醸造所ツアーとおつまみセット」を予約していたつもりだったのですが、土曜日の夜予約していたので残念ながら反映されていませんでした。週末予約分は翌週に反映されるらしいです(だったらシステム的に出来ないようにしてほしい!と思いましたが…)。

週末の予約をする時は、遅くても木曜日くらいまでにした方が良さそうです。今日はオランダ語のツアーがあるけどそれで良かったら飛び入り参加するか、と言ってくれましたが、さすがにオランダ語はちんぷんかんぷんなので断念。。すると不憫に思ったのか、英語ツアーの説明書をくれました。醸造方法やこの醸造所の歴史等々いろいろ書いてあるものです。

また、ここはラッキーなことにレストラン兼醸造所となっていたので、ツアーに入らなくても醸造設備は見学可能です。自由に見学してOKでしたし、分からないことは質問してねとのことだったので、むしろこれで良かったかもしれません。


ビールは全部で5種類製造しています。すべてレストラン内で製造しており、全部の機械を見ることが出来ました。ざっくり、工程はこんな感じです。モルツの粉砕→麦汁を作る→濾過→煮沸→ハーブの添加、濾過→冷却→発酵(上面)→熟成(種類によるけど2~3週間)→瓶詰めちなみにどんなハーブを使っているかは企業秘密でしたが、5種類のビールともにベースは同じでちょっとずつ特徴づけているとのことでした。


<これが中の様子>
<貯蔵タンク。その上が中二階になっていて席があります>

せっかくなので5種類全部のビールを注文してみました。テイスティングセットなるものもあったので、ちょっとずつ色んな種類を楽しめて有り難いです。右から…

●Gentse Gruut Amber(度数6.6%) なんだか飲みなれない香りと味。これがハーブなのでしょうか?ハーブ、ハーブ…と思いながら飲んでいるからかちょっと草っぽい気がしました。

●Genste Gruut Blonde(度数5.5%) これも上記同様。なんと表現していいか分かりませんが微かな腐敗臭?が。別に嫌な匂いじゃないんですがね!

●Genste Gruut Inferno(度数9%) これが唯一ホップを使用しているビール。ハーブのビールと比較するために一緒に頼むのがオススメです。やはり飲みなれた味、安定感がありました。

●Genste Gruut Brown(度数8%) 甘く香ばしくてキャラメルみたい

●Gentse Gruut White(度数5%) コリアンダーやオレンジピールを使っているそう。ヒューガルデンのような味ですね。

<一緒にチーズとハムも頼みました。美味しかった!>


醸造所ツアーは以下があって、他にも運河ツアーとの組み合わせなどもやっています。ちなみに今回予約を逃したのは③でした。

①ビール醸造の説明+ビール3種類の試飲:9ユーロ

②ビール醸造の説明+ビール3種類の試飲+おつまみ:11ユーロ

③ビール醸造についての説明+ビール3杯の試飲+②より多いおつまみ:14ユーロ

④ビール醸造についての説明+ビール3杯の試飲+食事:23ユーロ

⑤ビール醸造についての説明+ビール3杯の試飲+食事+デザート:27ユーロ

※8名未満の場合は、1人当たり1ユーロ追加。


【Gruute(グルート)醸造所】

住所:Grote Huidevettershoek 10, 9000 Gent

電話:+32 9 269 02 69

営業時間:(月~水)11:00~18:00(木~土)11:00~18:00(日)14:00~19:00

HP:http://www.gruut.be

Atlanta Life ~via Belgium~

2015年~2017年はベルギーで。2017年8月よりアメリカはアトランタで生活を始めました。

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