ヘット・アンケル (Het Anker)醸造所「ベルギー最古の醸造所 カール5世が愛したビール」

ブリュッセルから車で約30分、ブリュッセルとアントワープの間にあるメッヘレンの醸造所「Het Anker」に行ってきました。

アントワープ観光のついでに寄るにも便利です。ここはあの神聖ローマ皇帝カール5世が幼少期を過ごした町として有名です。そして今回訪れた醸造所のビールも同じくカール5世が愛したビール。醸造所の歴史は、現在確認出来る資料から、1369年まで遡ることが出来るそうですが、実際はもっと昔から醸造が始まっていたようで、現在操業している醸造所ではベルギーで最も古い醸造所と言えそうです。

今回は事前にホームページで予約して醸造所ツアーに参加してきました。車で行く場合、醸造所見学者用の駐車場はありませんので近くの路上に駐車するのがおススメです(有料)。入り口の右手にすぐショップがありますので、ツアー代金をレジで支払います。私達は一応電話で予約をしていたのですが、特に予約を確認されるようなことはなく、予約なしの人もいそうな雰囲気でした。代金(8ユーロ)を支払ったらショップの外でツアー開始。ツアー代のレシートは、後でガイドの方に渡さないといけないのでなくさないようにして下さいね。


<醸造所の外観>

ツアーはまず、醸造所の外で施設や歴史についての説明がありました。この醸造所の歴史はとても古く14世紀にまで遡ります。元々は、病院、醸造所、ベギン会修道院があった複合施設で、ベギン会の修道士が市民や病院の患者に汚染されていない飲み物を提供するためにビール造りをしていたそうです。病院に提供するビールの納税は免除されていたとか。やはりビールはかつてのヨーロッパでは、汚染されておらず栄養価の高い飲料として欠かせない物だったんですね。

建物は非常に歴史のあるもので、重要文化財に指定されています。現在ここには醸造所、ショップ、併設のビアカフェ、ホテル(ベルギー初の醸造所のホテル)、事務所があります。

そしていよいよ醸造所の中へ。醸造所は1872年にヴァン・ブレーダム氏によって買い取られ、それ以来代々この家族で経営しています。1990年には5代目のシャルル・ルクレ氏が醸造所の建て直しを行い、設備だけでなく、グラスや瓶のデザインも一新しました。現在この醸造所の中には以前使っていた設備が博物館的に展示してあるのと、90年代に導入した現役の設備を同時に見ることが出来ます。階段を上ってまずはマッシュタンへ。ここで醸造過程の説明を受けます。やかんのような形のマッシュタン3つありますが、現在は2つで供給量を賄っているとのことでした。向かって左のマッシュタンは以前は下面発酵のビールに使っていたそうです。


<マッシュタン>

<工程の説明>
その後はクーリングシステムと冷却槽へ。特に1990年まで使用されていた銅製の屋根付き冷却槽は見どころの一つ。野外なので酵母が舞い降りてきそうなこの冷却槽でクールダウンされたビールは上面発酵と自然発酵の組み合わせのような感じです。今は使っていないそうですが、当時のビールはまた味が違うんだろうなと思いました。冷却槽は屋上にあり、ここからはメッヘレンの街が一望できとてもキレイでした。


<屋根付きの冷却槽>

<屋上から見た景色>
その後はモルト(大麦麦芽)を造る工程を見学。

1フロア全てモルトの工程のようで、今まで見た他の醸造所に比べると大規模なものでした。ここで造ったモルトを他社にも販売しているそうです。ちなみにこの醸造所は5階建てになっており、細い階段を上り下りしながら進んでいきます。1フロアの高さは、身長が高い人は天井に頭が当たってしまうくらいで低く、階段もさほど大変ではありませんでした。また、工程によって匂いが色々と変わっていくのも楽しく、五感を使いながらの見学となりました。

一番匂いが変わったのがウィスキーの熟成工程です。「ビール醸造所でウィスキー?」と思われる方もいるかもしれませんが、ここではなんとベルギー初のビールベースのウィスキー、「Gouden Carolus Single Malt(グーデン・カロルス・シングル・モルト)」を造っているのです。元々、この一家は農場を経営しており、風車で挽いた穀物からジュネーヴァ(ベルギーの蒸留酒)という蒸留酒を造っていました。それがウィスキーの製造に繋がったのです。ウィスキーの製造開始は2011年、3年後の2013年末に第一号が完成しました。蒸留は別のところで行っていますが、熟成はこちらでやっているとのこと。醸造所が入っている建物は、向かって左側に現在の設備やかつての設備の展示があり、向かって右側は全てウィスキーの熟成庫となっていました。熟成中に水分やアルコール分が蒸発し、最終的な製造量が目減りすることを「天使の分け前」と言いますが、そのおかげで熟成フロアはウィスキーの芳醇な香りが漂っていました。


最後はお待ちかねのテイスティング!

Gouden Carlos Classic(度数8.5%)とGouden Carlos Triple(度数9%)をそれぞれ150CCの小さなグラスで頂きます。テイスティングの前にはガイドさんからテイスティングの仕方やこのビールのウンチクを聞くことが出来ました。醸造所ツアーの後はビアカフェへ。

Hetankerでは12種類のビールを作っていますが、テイスティングでは2種類だけなので、カフェでは他のビールも色々頼んで飲み比べをしてみました。沢山量が飲めないという人には、150CCの小さなグラスでの飲み比べセットもありますのでおススメです(1種類:2ユーロ、3種類:5.5ユーロ、5種類:9ユーロ)。

また、同じビールを樽出しと瓶でも両方で提供していましたので、Gouden Carlos Tripleを飲み比べてみました。左が樽出し、右が瓶です。下の写真からも分かるように色も全然違いますし、味も樽出しのフレッシュな感じと瓶の熟成された感じで分かりやすい違いがあったのが面白かったです。ちなみに一応賞味期限はありますが、数年(多いときには十数年!)保管した上で飲むことも可能です。20年物なんかはどんな味になっているのでしょうか?ウィスキーのように長期間熟成させてみたくなりますね。

<5種類のテイスティングセット>

<樽出しと瓶の飲み比べ>

【Hetanker】

住所:Guido Gezellelaan 49, B-2800 Mechelen, Belgium

Tel:+32 15 28 71 41

E mail:info@hetanker.beHP:http://www.hetanker.be/en

営業時間:月~金曜日07:00 - 21:00

土曜日 08:00 – 17:00

日曜日 08:00 – 12:00

※ビアカフェは英語メニュー有り

ツアー予約:電話またはメールにて予約

ツアースケジュール:毎週金曜日、土曜日、日曜の11:00~、13:00(英語、オランダ語ツアー)

料金:醸造所ツアー(テイスティング2杯含む)8ユーロ

5名を超える場合は団体料金で7.5ユーロ

※12歳以下の子供は2ユーロでソフトドリンク1杯付き


Atlanta Life ~via Belgium~

2015年~2017年はベルギーで。2017年8月よりアメリカはアトランタで生活を始めました。

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