原色のグアテマラへ
友人と一緒にグアテマラにやってきました。といっても彼女は2泊3日で帰るので、私はその後1週間一人グアテマラです。
ということで友人がいる間はストイックに観光。首都のグアテマラシティはかなり治安が悪いので古都のアンティグアを拠点にします。アンティグアはグアテマラシティからは車で1時間ほど。初日と最終日はアンティグア市内をぶらぶら、中日は終日使えるのでちょっと足を伸ばして近隣の町へ行ってきました。
アンティグアから日帰りで行けて、かつ民族色が強くて面白そうなところはないかなぁと探したところ、Panajachel(パナハッチェル)と、Chichicastenango(チチカステナンゴ)が良さそうだとなり(完全に私の独断と偏見ですが)、行き方を検討。調べてみて分かったのですが、グアテマラというのは中〜長距離移動をする時にはノンストップのシャトルバスを使わないといけません。ただ、こいつがなかなかの曲者で一日に数本しか便がない上に運行時間も不便。よって個人で1日に2箇所一気に行くことは不可能。次の手で、ネットでいいツアーはないかと調べたところ丁度いいのを発見。79ドルでちょっと高いですがホテルピックアップ付き、悪くないです。
当日はピックアップの時間ぴったりに迎えに来てくれて(ラテンとしては珍しい!)、ガイドのお兄さんもすごく感じが良かったし、道中も色々とグアテマラについて説明してくれたので、実際個人で行くより数倍有意義でした。情報というのは旅行をとても面白くしてくれます。
まず最初に向かったのはチチカステナンゴ。アンティグアからは車で3時間ほど。ここは木曜日と日曜日に開催される露天市で有名なマヤ系のキチェ族の町です。ちなみにここでの公用語はキチェ語。人口は11万ほどですが、露天市の日は近隣の村から数万人のインディヘナたちが集まります(日本語ではインディオという言い方がメジャーですが、こちらではそれは侮辱的な言葉なので、ここではスペイン語で先住民という意味のインディヘナを使います)。
この混雑ぶりは一見の価値あり。マヤ人はとても身長が低く(ガイドさん曰く、男性は平均155cm、女性は平均145cm)、身長162cmの私はなんだか巨人になった気分でした。
ここでは色とりどりの民族衣装をまとった先住民達がところ狭しと物を売り買いしています。特に女性の民族衣装はとてもカラフルでデザインも様々で、ずっと見ていても全く飽きません。まさに原色の洪水。住んでいる場所や民族によって衣装のデザインが異なるそうで、チチカステナンゴのものは幾何学模様。他の地域はオレンジ色だったり、青だったり、薔薇の花が刺繍されていたりします。衣装の形はほぼ同じで上はウイピルというブラウス、下はコルテという巻きスカートです。
<マーケットの様子>
この街で最も有名なのはサントトマス教会というところで、ここを中心に街は構成されていました。ここは、元々キチェ族の霊場があったのですが、スペイン人が破壊して上からキリスト教の教会を建てたそう。キチェ族は自分たちの信仰をスペイン人に禁止されたため、表向きはキリスト教に改宗したふりをして、自分たちの信仰、文化を守り抜いたとか。
サントトマス教会の外では何かの香がモクモクと焚かれて、インディヘナの女性達が沢山の花を売っていました。教会内部は撮影禁止だったので写真はありませんが、何となくキリスト教ではなく、何か異教徒的な雰囲気がしました。教会内部でも、バラの花びらと松の葉と一緒に何が焚かれ、薄暗い教会内にエキゾチックな香りと深い煙がが漂っていました。信心深そうな青年が膝をついて、祭壇までゆっくりと真剣な面持ちで歩いていたり、インディヘナの女性達が一心不乱な様子でお祈りしている様子を見ると、ここはとても神聖で沈黙しなければいけない場所なんだなと感じました。キリストやマリアの肌や目元も若干先住民風になっており、長い時間をかけてマヤの人たちの信仰とキリスト教とが融合していったんだと思います。現代になって、ようやく彼らの信仰を邪魔する人たちがいなくなったようです。
<サントトマス教会の前にて>
チチカステナンゴの次は1時間半のドライブの後、パナハッチェルへ。道中はいくつかのインディヘナの村を通過して、ガイドさんの説明のおかげでとても有意義な時間になりました。グアテマラには沢山の先住民の部族がいるそうなのですが、その中で3つだけ、男性もスカートを履いている民族があるそうです。大抵男性はあまり民族衣装は着ていないのですが、そのうちの一つの村を通過して、スカートを履いている男性たちを目撃することが出来ました(正確に言うと、柄物のもんぺのようなものの上に、これまた柄物の巻きスカートを履いている)。また、アメリカへの出稼ぎで有名な町を通過した時は、アメリカの高層ビルのようなギラギラと青く反射する窓を真似ていて、素朴な村の家の窓がギラギラとしていました。お墓の前も通りましたが、ここのお墓はとてもカラフルで、ブルー系のパステルカラーがメイン。何かの宝石の色を意味しているそうで、あの世での案内人にこの宝石を渡せるそうです。また、インディヘナの女性達が原色の民族衣装を着てサッカーをしている光景も見ました。これは何だか不思議な感じがしました。
<パステルカラーのお墓たち>
そんなこんなで、ドライブすること1時間、風光明媚な円錐形の火山群と湖が見えてきました。パナハッチェルは湖畔の町で、のどかで心休まるようなところです。湖岸でインディヘナの女性たちが洗濯をしていたり、頭に物を乗せて歩いていたり、まさに私たちが想像するエキゾチックな異国そのもの。そして欧米人は水があるところが好きなのか、ちょっとキレイな海辺や湖畔の町にはすぐに集まってきます。だいぶ観光地化されていましたが(リゾートホテルがあったり、欧風なカフェがあったり)、それでもまだだいぶのどかな先住民の町の面影が見られます。ここはもう一度ゆっくり来たいなと思わせる場所でした。最後は大渋滞の中3時間半かけてアンティグアへ。山のくねくね道と、石造りのガタガタ道でだいぶ車酔いをしてグッタリでしたが、とても充実した1日となりました。
ここはまさにグアテマラの心臓部。グアテマラシティやアンティグアとは全く違う経験が出来るので、本当に行ってよかったです。
<パナハッチェルの湖畔の風景>
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