グアテマラの可愛いお土産

グアテマラと言えば民芸品が有名。私はどこに行ってもお土産というのはほとんど買わないのですが、グアテマラの民芸品にはすっかりやられてしまいました。今まで50以上の国に行きましたが、いつも買うのはその土地の食べ物くらい。可愛い!と夢中になった記憶があるのはフランスのハートの雑貨とポルトガルのタイルだけです。でも、グアテマラの雑貨には久しぶりに恋に落ちました。カラフルな色に豊富なデザイン、美しい手仕事、ほんとにお見事です。


色んな土産物がありますが、その中で特に私が気に入ったのがポーチ。値段もお手頃で小さいものだと2ドル、大きいものでも5ドルほど。ポーチって何にでも使えるし、いくつあっても困らないですよね。ポーチは「ウイピル」という、グアテマラの民族衣装の布を使っています。ウイピルはマヤ系のインディヘナの女性が着るブラウスで、カラフルな刺繍が特徴。村によってデザインが異なります。これ一枚を織るのに、3〜4ヶ月かかるそう(1日5時間の作業で、トータルの時間は柄による)。

<これがウイピル>

<丸い部分に頭を入れます>



いくつもあるデザインの中で、特に私が気に入ったのが、幾何学模様のカラフルな柄のもの。このデザインに絞るだけでも大変だったのに、今度はこの中から色の組み合わせを選んでいきます。私があまりにも真剣に選んでたので、お店の人がいろいろと教えてくれました。私が気に入った模様は、Todos los santos huehuetenango(ウエウエテナンゴ)という村のものだそう。この柄は気に入って、3つもポーチを買ってしまいました。もうちょっとサイズ違いとか買いたかったけど、この村のはあまりメジャーじゃないみたいで、沢山の土産物屋を覗いたけど売っていなくて探すのに苦労しました。

<原色の幾何学模様のデザイン>


あと似たやつでこちらも購入。これはチチカステナンゴのものだそう(右)。もう一つ気に入ったのが、鳥の絵が刺繍してあるもの。こちらはキチェ族のナバハというところのものだそう(左)。別の鳥の模様でサンフアン・コマラパの村のものもありました。


こうやって見ていると、どんどん気になってきます。これはどこの?それはどこの?と店主を質問攻め(笑)お店の人はサン・アントニオ・アグアスカリエンテス(先住民の村)出身だそうで、客も私一人だったのでいろいろと教えてくれました。写真も快く撮らせてくれて、この店主のおかげで、それぞれの村の持つ固有のデザインに興味が出てきました。

花のデザインもあります。私はちょっとシンプルな薔薇の柄のものを購入。これはアグアスカリエンテスのもので、ちょっと派手になるとケツアルテナンゴのもの。

<バラのデザインのものはkindleケースに>


また雰囲気が違うこちらも購入。これは刺繍がとても立体的で波状の模様で、パナハッチェルのものだそうです。シンプルなものから、カラフルなものまでバリエーションが豊富。私は小さなサイズのモノクロのデザインのものを購入しました。


他にも何十もの色んな柄があります。例えばこういうの↓

店に入る度に色んな柄を、これはどこの村の物ですか?と質問していたのですが、同じ柄でもさっきと違う村の名前が出てきたり、分からないと言われたり何となく信用出来ず。うーん、難しい。きっと先住民の民族衣装のデザイン事典みたいなのがあるだろうから探してみれば良かったなぁ。

可愛い柄が沢山で、もっともっと買いたかったんですが、そこまで爆買しなかったのには理由があります。私が買ったのは全て両面がウイピルになっているもの。大抵は(8割くらい)表面のみがウイピルで、裏はコットンのシンプルな布になっているものばかり。お店に入る度に(50軒は行ったと思う)、両面がウイピルのポーチはありますか?と聞いていたのですが、両面にするとコストが上がって、そうすると買ってもらえないから片面のしか置いてないよという返答が返ってきました。

両面ウイピルでも値段は数ドルです。観光客は先進国からばかりなので、決して高い金額ではないと思うのですが。。正直片面だけのウイピルは、せっかくのキレイな手織りが裏の布によって台無しになっちゃうようで、なんだか残念な気持ちになってしまいました。

両面手織りだと、見た目にも可愛いだけでなく、肌触りも柔らかで、衝撃も吸収してくれます。機械ではない、手作業の丁寧な仕事は、本当に価値があって美しいと思うし、正当な価格で、良い状態のままで受け継がれて欲しいなと思いました。片面のウイピルは本当に観光客から望まれているのかな…?今回買った両面のウイピルも、もしかしたら数年後には片面になっているのかも。


今回見たポーチは手織りの部分は素晴らしいのですが、ポーチの形に布を貼り合わせる部分や、ジッパーの部分がかなり甘く、ここさえしっかりやれば、世界のオシャレなセレクトショップで通用する商品だなと思いました。先進国の奢りなのかもしれないけれど、せっかく素晴らしい素材を持っているのだから、商品を作るならもっときちんと作ったら売れるのになと。何だかすごく勿体なくて。ウイピルを作る技術はピカイチですが、ポーチなんて観光客向けに最近作り始めたものなので。

グアテマラの先住民はかなり厳しい生活をしています。彼らの素晴らしい手仕事を正当に評価して、世界基準のディテールを教えてあげられたら少しは彼らの生活も楽になるんじゃないかな。絶対に10倍の値段で売れると思うのだけど…。


ちょっと調べてみたら、日本でもグアテマラの民芸品に惚れ込み、品質の向上を試み、ブランドを立ち上げた人を2人見つけました。でも両者とも日本で縫製をやっているよう。グアテマラにYKKのジッパーや、物差し(真っ直ぐ縫えるように)を持ち込んだようですが、結局盗難などにあい、定着しなかった模様。口ではこうすればいいのにとか簡単に言えますが、言うは易し行うは難し、ですね。グアテマラの村に入り込んで、彼らの素晴らしいウイピルを使って品質の高いポーチを作りたい、という気持ちがムクムクとこみ上げてきました。久しぶりに、こういうことやりたいという気持ちが出てきた気がする。妄想ばかりですが。


<左がChajul、右がchile verdeのもの>

<左がサン・ペドロサカテペケス、右がナワラ>

<サンアントニオ・アグアスカリエンテスにて。彼女はいま8歳。6歳のころから織物を始めたのだそう。彼女から上のバラのポーチを買いました。とても美人な子でした>


<こうやってすべて手作業で作られています。私には絶対できない!ほんとに脱帽です>


ポーチの他にはネックレスも可愛くて色々見ていたのですが、なんだか何処かで見たデザイン。そういえば、ちょっと前に日本で流行ったものによく似ています。でもこれはグアテマラの伝統的なデザイン。日本で流行ったということは、ルイヴィトンやプラダなどの世界のハイブランドがグアテマラの伝統的なデザインにインスパイアされた商品を作って、パリコレなどで発表したんだろうなと思います。そしてそれがファストファッションにもやってくる。著作権なんてないんだろうから、こうやってデザインを盗まれてしまうんだろうな。



伝統的だけど、新しいグアテマラの民芸品。私の生活に新しい彩りを与えてくれました。新しい相棒となったポーチを日々使うのが楽しみです。


Atlanta Life ~via Belgium~

2015年~2017年はベルギーで。2017年8月よりアメリカはアトランタで生活を始めました。

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